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目標15:【陸の豊かさを守ろう】

陸の生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る

SDGs15、16の目標のタイトルはSDGsの他の目標の中でも比較的長い文字数ですが、目標15は、要は「陸上の生態系を守ろう」という意味です。

レッドリストという言葉があります。世界にはどれくらい、絶滅の危機に瀕している野生生物がいるのでしょうか。NGOのIUCN(国際自然保護連合)によると、絶滅の危機に瀕している世界の野生生物のリスト「レッドリスト」があり、このリストには現在、絶滅の恐れがある野生生物は約3万8,543種以上とされています。(2021年時点)正確なデータではなさそうですが、多くの世界の野生生物が絶滅の危機に瀕しているのは確かなようです。

2015年の森林面積は約4千万平方キロメートルで、全陸地面積の30.7%を占めています。2000年は4,100万平方キロメートルあり、毎年縮小傾向にあります。日本国内の山手線線内の面積が1日に消失しているとう驚愕なデータもあります。

このまま森林破壊を続けていいのでしょうか。

*生物多様性条約 愛知目標(COP10)との連関

「愛知目標」とは、2010年10月に愛知県名古屋市で開催された生物多様性条約第10回締約国会議で採択された、「生物多様性を保全するための戦略計画2011-2020」の中核をなす世界目標です。この会議で、2020年までに生物多様性の損失を食い止めるための緊急かつ効果的な行動をとることが合意されました。そのために各国に求められる行動が20にまとめられ、愛知目標(愛知ターゲット)と名づけられました。(WWFより)

以下、愛知目標を見てみましょう。

目標1 生物多様性の価値と、それを保全し持続可能に利用するための行動を人々が認識する。

目標2 生物多様性の価値を、国と地方の計画に統合し、適切な場合には国家勘定、報告制度に組み込む。

目標3 生物多様性に有害な奨励措置を廃止もしくは改革し、生物多様性に有益な奨励措置を策定し、適用する。

目標4 自然資源の利用を生態学的限界の範囲内に抑え、すべての関係者が持続可能な生産・消費のための計画を実施する。

目標5 森林を含む自然生息地の損失速度が少なくとも半減、可能な場合にはゼロに近づき、その劣化と分断化が顕著に減少する。

目標6 過剰漁獲が避けられ、回復計画を講じながら、絶滅危惧種や脆弱な生態系に対する漁業の深刻な影響をなくし、生態学的限界の範囲内に抑える。

目標7 農業、養殖業、林業を持続可能に管理する。

目標8 過剰栄養などによる汚染を、生態系や生物多様性に有害とならない水準にまで抑える。

目標9 侵略的外来種のうち優先度の高い種を制御し、根絶する。その導入や定着を防止するための対策を講じる。

目標10 サンゴ礁などの気候変動や海洋酸性化の影響を受ける脆弱な生態系への人為的圧力を最小化し、その健全性と機能を維持する。

目標11 生物多様性と生態系サービスにとって重要な地域を中心に、陸域および内陸水域の少なくとも17%、沿岸域および海域の少なくとも10%を、効果的な保護区制度などにより保全する。

目標12 既知の絶滅危惧種の絶滅を防止する。とくに減少している種の保全状況を改善する。

目標13 作物、家畜およびその野生近縁種の遺伝子の多様性を維持し、損失を最小化する戦略を策定して、実施する。

目標14 自然のめぐみをもたらし、人の健康、生活、福利に貢献する生態系を、女性、先住民、地域共同体、貧困層や弱者のニーズを考慮しながら、回復・保全する。

目標15 劣化した生態系の少なくとも15%を回復させることをふくめ、生態系の抵抗力および二酸化炭素の貯蔵に対する生物多様性の貢献を強化し、気候変動の緩和と適応、砂漠化対処に貢献する。

目標16 遺伝資源へのアクセスとその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する名古屋議定書を、国内法制度に従って施行、運用する。

目標17 各締約国が、効果的で参加型の生物多様性国家戦略または行動計画を策定し、実施する。

目標18 先住民と地域共同体の伝統的知識・工夫・慣行を尊重し、条約の実施において考慮する。

目標19 生物多様性に関連する知識、科学技術を改善する。そして広く共有・移転し、適用する。

目標20 戦略計画を効果的に実施するための資金動員を、現在のレベルから顕著に増加させる。

 

このうち目標15「劣化した生態系の少なくとも15%以上の回復を通じて気候変動対策に貢献する」は、SDGs目標ターゲット15.2や15.5に文脈として引き継がれています。SDGs目標立案よりも先に、生物多様性、すなわち環境問題が先んじて議論されていた経緯がわかります。

 

*FSC認証制度

FSC認証制度という制度があります。FSC認証とは、「環境、社会、経済の便益に適い、きちんと管理された森林からの製品を目に見える形で消費者に届け、それにより経済的利益を生産者に還元する仕組み」ですが、我々消費者も企業もこのFSC認証を取得した生産者や企業から購買調達することにって目標13に貢献することになります。

 

目標15 陸の豊かさを守ろう ターゲット一覧

 

15.1 2020年までに、国際協定の下での義務に則って、森林、湿地、山地及び乾燥地をはじめとする陸域生態系と内陸淡水生態系及びそれらのサービスの保全、回復及び持続可能な利用を確保する。

 

15.2 2020年までに、あらゆる種類の森林の持続可能な経営の実施を促進し、森林減少を阻止し、劣化した森林を回復し、世界全体で新規植林及び再植林を大幅に増加させる。

 

15.3 2030年までに、砂漠化に対処し、砂漠化、干ばつ及び洪水の影響を受けた土地などの劣化した土地と土壌を回復し、土地劣化に荷担しない世界の達成に尽力する。

 

15.4 2030年までに持続可能な開発に不可欠な便益をもたらす山地生態系の能力を強化するため、生物多様性を含む山地生態系の保全を確実に行う。

 

15.5 自然生息地の劣化を抑制し、生物多様性の損失を阻止し、2020年までに絶滅危惧種を保護し、また絶滅防止するための緊急かつ意味のある対策を講じる。

 

15.6 国際合意に基づき、遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分を推進するとともに、遺伝資源への適切なアクセスを推進する。

 

15.7 保護の対象となっている動植物種の密猟及び違法取引を撲滅するための緊急対策を講じるとともに、違法な野生生物製品の需要と供給の両面に対処する。

 

15.8 2020年までに、外来種の侵入を防止するとともに、これらの種による陸域・海洋生態系への影響を大幅に減少させるための対策を導入し、さらに優先種の駆除または根絶を行う。

 

15.9 2020年までに、生態系と生物多様性の価値を、国や地方の計画策定、開発プロセス及び貧困削減のための戦略及び会計に組み込む。

 

15.a 生物多様性と生態系の保全と持続的な利用のために、あらゆる資金源からの資金の動員及び大幅な増額を行う。

 

15.b 保全や再植林を含む持続可能な森林経営を推進するため、あらゆるレベルのあらゆる供給源から、持続可能な森林経営のための資金の調達と開発途上国への十分なインセンティブ付与のための相当量の資源を動員する。

 

15.c 持続的な生計機会を追求するために地域コミュニティの能力向上を図る等、保護種の密猟及び違法な取引に対処するための努力に対する世界的な支援を強化する。