2022年になりSDGsという言葉を新聞やテレビ・雑誌・ネット記事などで良く目にするようになりました。
SDGsを取り扱った内容を見てみると、なんとなく環境問題に取り組んでいそうな印象を受けますが、具体的な内容が分からず疑問を感じているかも多いのではないでしょうか。
この記事では「SDGs」を簡単に分かりやすく説明し、その上でSDGsが生まれた背景や提唱者、ロゴマークの意味、17の目標などを解説していきます。
SDGsとは?
持続可能な開発目標(SDGs)とは、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。
“Sustainable Development Goals”の略で、17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。
SDGsは発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり、日本としても積極的に取り組んでいます。
SDGsとは?簡単に分かりやすく説明・解説
SDGsとは「持続可能な開発目標」です。分かりやすくいうと「持続可能=人間の活動が自然環境に悪影響を与えずに、その活動を長期的に続けられること」であり、「開発目標=2030年まで世界中の環境問題など(差別、貧困、人権問題などを含む)を、世界規模で解決していこう」という意味合いになります。
つまり世界中の大きな問題を2030年に向けて維持・解決していく目標となります。
SDGsはなぜ必要?
SDGsは人がみんなで豊かに過ごしていくために必要な目標であり、責任でもあります。
その上で企業もSDGsを必要としています。
理由の一つとしてESG投資(※環境問題に積極的に取り組んでいる企業への投資)が挙げられます。
環境問題などにしっかりと取り組む企業として、長期的な資産形成が見込めると考えられている為、企業が積極的にSDGsに取り組むことは長期的な目線で大きなメリットとなります。
SDGsの特徴
さて、SDGsにはどんな特徴があって、どんな思想があるのでしょうか。5つの特徴が言われています。
「普遍性」国内だけでなく国際協力の両面で取り組むことの重要性について、
「包摂性」脆弱な立場の人たちへも目を向ける事、
「参画性」SDGsは多種多少な国や組織、個人が連携して取り組んでいくべきだという考え、「統合性」SDGsの根幹である17の目標が、環境、社会、経済環境に関わる課題であり、しかも相互関係の中で取り組んでいくことの重要性、
「透明性」説明責任も含まれるのですが、全員参画型ということを担保するためにも取り組み状況を定期的に評価していこうということです。
SDGsという概念が生まれてきた背景
これまで、国連では、地球環境問題と、経済成長や開発問題に関する議論は、実は相互に絡み合っているにも関わらず別々に論じられてきました。1972年に、環境問題と開発問題(≒経済(格差)問題)に関する最初の国際会議(国連人間環境会議、いわゆるストックホルム会議)が開催されました。ちょうどこの年の1月、ローマクラブが「成長の限界」を発表、「人類がこのまま成長をし続けると、100年以内に地球の成長は限界に達する」と報告され、世界に衝撃が走った頃でもありました。その後、度重なる国際的な議論を経て、2000年(平成12年)にようやく、平和、安全、貧困問題、経済格差などの問題に向き合ったいわゆる「ミレニアム目標」が国連から提唱されました。これがMDGsというものです。その後、気候変動(COP)や生物多様性などを議論も含め、民間、NGOなど多くのステークホルダーを参画させながら度重なる会合を重ねて今のSDGsの登場となったわけです。
SDGsは突然出てきた概念ではなく、実に40年以上の年月を要しています。また、これまでの反省から、「ルールによるガバナンス」から「目標によるガバナンス」へと大きく舵が切られました。経済・環境・社会の統合実現に向けて、企業等が主体的な取り組みをすることが求められています。
アジェンダについて
アジェンダとは、課題という意味ですが、古くは1992年のブラジル・リオデジャネイロで開催された環境サミットにおいて採択された「アジェンダ21」が有名です。
17の目標と169のターゲットの原則について
国連2030アジェンダを基本にして合意された17の目標と169のターゲットは以下のような原則で作成されました。
原則
1. SDGsとターゲットは、各国の置かれたそれぞれの現状、能力、発展段階、政策や優先課題を踏まえつつ、一体のもので分割できないものである。
2.地球規模且つすべての国に対応が求められる性質のものである。
3.ターゲットは、地球規模レベルでの目標を踏まえつつ、各国の置かれた状況を念頭に、各国政府が定めるものとなる。
4.各々の政府は、これら高い目標を掲げるグローバルなターゲットを具体的な国家計画プロセスや政策、戦略に反映していくことが想定されている。
5.持続可能な開発が経済、社会、環境分野の進行中のプロセスとリンクしていることをよく踏まえておくことが重要である。
6.最も脆弱な国々、特にアフリカ諸国、後発開発途上国、内陸開発途上国、小島嶼開発途上国が直面している特別な課題とともに、中所得国が直面している特有の課題を強調する。
7.いくつかのターゲットについては、基準データが入手困難であるということを認識する。国及び地球規模レベルの基準データを整備するための加盟国レベルでの能力構築及びデータ収集強化の支援を強く求める。
8.アジェンダの実施の妨げとなり得る課題に関する他のフォーラムでの各国の取組を歓迎する。
9.本アジェンダ及びその実施が、他のプロセスやそこでの決定に対しこれに貢献することはあっても侵害することのないようにする。
10.持続可能な開発の達成に向け、それぞれの国が置かれた状況及び優先事項に基づき各々に違ったアプローチ、ビジョン、モデルや利用可能な手段が変わってくることを認識する。
11.地球という惑星及びその生態系が我々の故郷であり、「母なる地球」が多くの国及び地域において共通した表現であるということを再確認する。
目標
以上のような原則で17の持続可能な開発目標が作られました。
目標1. あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる。
目標2. 飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する。
目標3. あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する。
目標4. すべての人々への包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する。
目標5. ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う。
目標6. すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する。
目標7. すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する。
目標8 .包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク:decent work )を促進する。
目標9. 強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る。
目標10. 各国内及び各国間の不平等を是正する。
目標11. 包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する。
目標12. 持続可能な生産消費形態を確保する。
目標13. 気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる。
目標14. 持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する。
目標15. 陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する。
目標16. 持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する。
目標17. 持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する。
SDGsを一言でまとめると
「SDGsとは未来の形」
慶應義塾大学大学院・メディア研究科教授 蟹江憲史氏
「SDGsとは経済・社会・環境のバランスを目指す人類史的挑戦」
モニターデロイト
との言葉が印象的です。