すべての人に水と衛生へのアクセスと 持続可能な管理を確保する
水道普及率が98%を誇る日本ではこの目標はさほど重要な問題とは捉えられていないようです。それは、高度成長期頃から下水道完備が急速に進められ、汚水処理など、日本政府としても国内インフラ整備に最大限の力を投入したこともあります。その恩恵を授かったからとも言えるでしょう。しかし、数十年に一度、数百年に一度とも言われる災害が起きてしまうと、まずは、水資源へのアクセスが最大の緊急対策になるくらい水は我々生命体にとって貴重なものです。
また、竹村真一京都造形芸術大学教授によれば、日本は水資源に関して豊富なようで、実は、農業用水確保のための「水輸入国」であるともおっしゃっています。
海外の水事情を見てみましょう。
・世界中の女性・女の子が一日に水をくむ時間をすべて足すと2億時間(SDGsジャーナル)
・水と石けんを使って手洗いができる場所が家にない人は23億人(SDGsジャーナル)
・屋外排泄人口が6億7300万人(2017年)
・42億人が安全に管理されたトイレを利用できない(2017年)
というデータがあります。これらはアフリカに多く見られる事情でもありますが、日本と世界の違いが浮き彫りにされています。
目標6をビジネスチャンスに!
一方で、民間資本として、水資源へのアクセスという社会課題解決を目的にしながら、ビジネスチャンスとしてビジネスモデルを構築する企業も増えています。いずれも目標6
の実現に向けての事業で期待されています。
特に、ターゲット6.2 「2030年までに、すべての人々の、適切かつ平等な下水施設・衛生施設へのアクセスを達成し、野外での排泄をなくす。女性及び女子、ならびに脆弱な立場にある人々のニーズに特に注意を払う。」と、6.3「2030年までに、汚染の減少、投棄廃絶と有害な化学物や物質の放出の最小化、未処理の排水の割合半減及び再生利用と安全な再利用の世界的規模での大幅な増加により、水質を改善する」、6.4 2030年までに、全セクターにおいて水の利用効率を大幅に改善し、淡水の持続可能な採取及び供給を確保し水不足に対処するとともに、水不足に悩む人々の数を大幅に減少させる」の解決を視野に入れた事例があります。
・沈殿槽を使わない前ろ過方式の下水処理施設(機械精密)
・医薬品の製造工程で八ツ制する高活性排水を高度処理してからの排出(医薬)
・海水から冷却水の取排水利用を低減可能な発電方式の導入(エネルギー)
・宿泊客に適切な水利用を促し、設備内での雨水・再生水の利用を促進(観光)
第2回SDGsアワードで受賞されたLIXILは、災害対応トイレの販売で貢献していますし、ベンチャー企業でも、泥酔を真水に変える技術を使い商品化した事例もあるようです。
SDGsをビジネスチャンスとして捉えるには、目標6の項目やターゲット
は非常に注目されています。
目標6 安全な水とトイレを世界中に ターゲット一覧
6.1 2030年までに、すべての人々の、安全で安価な飲料水の普遍的かつ平等なアクセスを達成する。
6.2 2030年までに、すべての人々の、適切かつ平等な下水施設・衛生施設へのアクセスを達成し、野外での排泄をなくす。女性及び女子、ならびに脆弱な立場にある人々のニーズに特に注意を払う。
6.3 2030年までに、汚染の減少、投棄廃絶と有害な化学物や物質の放出の最小化、未処理の排水の割合半減及び再生利用と安全な再利用の世界的規模での大幅な増加により、水質を改善する。
6.4 2030年までに、全セクターにおいて水の利用効率を大幅に改善し、淡水の持続可能な採取及び供給を確保し水不足に対処するとともに、水不足に悩む人々の数を大幅に減少させる。
6.5 2030年までに、国境を越えた適切な協力を含む、あらゆるレベルでの統合水資源管理を実施する。
6.6 2020年までに、山地、森林、湿地、河川、帯水層、湖沼などの水に関連する生態系の保護・回復を行う。
6.a 2030年までに、集水、海水淡水化、水の効率的利用、排水処理、リサイクル・再利用技術など、開発途上国における水と衛生分野での活動や計画を対象とした国際協力と能力構築支援を拡大する。
6.b 水と衛生に関わる分野の管理向上への地域コミュニティの参加を支援・強化する。